「想像力って何だろう?」

想像力とは、目に見えないものを思い浮かべる能力、また、過去の記憶や経験からのイメージを解体して新しいものを作っていく力のことです。
幼児の精神発達においては、なくてはならない重要な能力のうちの1つとなっています。

 

「想像力はいつ頃から誕生するの?」

皆さん、想像力は何歳頃から芽生えてくるものかご存知でしょうか?
実は、生後10ヶ月頃と言われています。この頃、赤ちゃんの頭の中に”イメージ”が誕生するのです。
この頃の赤ちゃんが好きな遊びの一つに、「いないいないばぁ!」があります。
ママの顔が隠れても、ママの顔を思い浮かべている。そして、予測通りにママの顔が現れると嬉しくて笑います。
また、2つのおもちゃを見せてから、片方のおもちゃを隠し、「おもちゃはどっち?」と訊ねる遊びも、赤ちゃんは大好きです。
赤ちゃんは目の前にあったおもちゃを想像して、予測することを繰り返し、見えないおもちゃを探すワクワク感を楽しみます。
このように、1歳に満たない子どもでも、体験をイメージという形で思い出すことができるようになるのです。

 

「年齢による想像の豊かさの違い 」

さて、この想像力という能力は、年齢によってどのような違いがあるのでしょうか。
想像の豊かさというのは、”体験や経験の量”によって違ってきます。これらが豊かであればあるほど、イメージの世界は豊かになります。
ここで、2歳5ヶ月と3歳8ヶ月の女の子の語り方の違いをご紹介します。
(十文字女子大学理事・特任教授、お茶の水女子大学名誉教授:内田伸子先生の研究より)

3枚のカード(以下の絵)を女の子の前に置いてお話ししてもらいました。

 

2歳5ヶ月の女の子
①「うさたん、ぴょんぴょん」
②「いてぇー、ころんだよ、石、ころんだ」
③「エーンエーン、うさたん、エーン」
2歳代の語りの特徴は、言葉が動作を支え、動作が発話を支えています。

3歳8ヶ月の女の子
①「うさこちゃんがお月さんを見ながら楽しくダンスしていました」
②「上ばかり見て踊っていたので、石ころにつまずいて、水たまりに尻もちをついてしまいました」
③「頭から水ぬれになったうさこちゃんは泣いてしまいました」
3歳8ヶ月では、こんなにも豊かにお話しができるようになります。

この1年3ヶ月の違いは、やはり体験や経験の量の違いということが大きいでしょう。

 

「幼児期における絵本」

生後10ヶ月頃に”イメージ”する力が誕生し、体験や経験を通して、豊かな想像力を育くんでいく子どもたち。
さらなる豊かな心の形成と、子どもの発達段階においてとても重要な役割を担う「絵本」は、どのようなものを選択すれば良いのでしょうか。
ここでは、絵本の”絵”について、5つのポイントをご紹介します。
(中国学園大学:尾崎恭子先生の研究より)

☆絵についてのポイント☆
・内容を端的に表し、絵を見て大体の筋がわかるもの
・子どもの感覚に合っており、理解しやすいもの
・絵が正確で、漫画的でないもの
・ものの働きを充分に表現した絵を持つもの
・美しく色彩豊かな絵で、けばけばしくないもの

幼児の世界観を左右する絵本の”絵”。
絵に特化する場合は、上記のポイントに留意して選んでみることをお勧めします。
注)絵本の選定についての留意点は、絵だけではなく、文・レイアウト・文字の大きさなどもあります。

 

「かわいいイメージの絵は、子どもの想像力を抑制しちゃう?」

絵についての選択ポイントが分かったところで、次に、その絵本の”絵”が、幼児の思考に及ぼす影響を明らかにしている研究をご紹介します。
実は、絵の表現形式(かわいいイメージの絵とそうでない絵)が、幼児の想像力(イメージ形成)に影響を及ぼすというのです。
(千葉大学教育学部の研究より)


小学館:三びきのくま
登場人物がかわいい・漫画的、色調は明るい・メルヘンなイメージの絵

福音館:三びきのくま
昔話独特の素朴な味わい・どこか神秘的で不気味なイメージをもつ絵

<実験内容と結果>
この2冊の絵本の内容を作り変え,同一の文章に揃えた紙芝居を読み聞かせ、途中でお話しを終え、続きのストーリーを創ります。
その結果、②の絵本を読み聞かされた幼児の方が、長く、新しい展開の見られる話、あるいは独創性の強い話を創ることが多かった。

<原因として考えられる2つの要因>
①の絵は、幼児が最も好むかわいいイメージの絵本です。幼児にとって好ましいイメージであるがゆえに、幼児自身がそのイメージの中に留まってしまうため、新しい想像が生まれなかったのかもしれません。
②の“素朴な昔話の雰囲気と神秘性”という性質が、幼児の心を日常から離れた世界へと導く効果によって、独創性の強いストーリーを創ったのかもしれません。

以上のような結果から、かわいいイメージの絵本は、幼児の想像力を抑えてしまう傾向にあることが分かりました。
子どもが好む絵本(好む絵)を与えることは、必ずしも子どもの発達にとって、少なくとも想像力については、良い結果が出るとは言えないようです。

 

優れた絵本は、物語を理解する力や物語の世界をイメージし創り出す”想像力”を養います。
子どもがお気に入りの絵本を読んであげることももちろん大切ですが、その逆のイメージの絵や内容の絵本も上手く取り入れながら、子どもの世界観を広げてあげる必要があります。
将来の学びや仕事にも活きてくる”想像力”を、今しかない幼児期にたくさんの読み聞かせを通して伸ばしてあげましょう!

 

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参考文献

子どもの創造的想像力を育む:file:///C:/Users/J&N/Downloads/05_%E5%86%85%E7%94%B0%E5%85%88%E7%94%9F.pdf

幼児の精神発達と絵本:https://ci.nii.ac.jp/els/contents110006184127.pdf?id=ART0008156645

絵本の絵が幼児の物語理解・想像力に及ぼす影響:https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004628753.pdf?id=ART0007341257